現地報告
現地報告
投稿者 高野弘幸
作成日 2014-04-09 (水) 07:37
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ルワンダ虐殺から20年 菊池司教

虐殺事件から20年を迎えたルワンダ。当時から疑問に思っていたことがあり、それをしばしば講演などでも口にしていました。その後、現在の教皇庁正義と平和評議会議長タ-クソン枢機卿が、同様の内容をどこかの講演で触れてくださり、ガーナ人という少なくともアフリカの方の口からそのポイントが出たことを心強く思いました。

そのポイントとは、もちろんルワンダはキリスト教国であり、しかも人口の6割以上はカトリックであった事実。なぜ信仰は虐殺を止めることができなかったのか。微妙なポイントなのですが、誰が悪かったという犯人探しをするつもりは全くありません。問題は、洗礼者は増えたけど福音はどこまで浸透していたか。つまり、教会に来る人が増えたとしても、そこで満足をせずに、さらにしつこいくらいにさらに、福音をその人の心にしみこませる努力をしない限り、人間の性に基づく集団の行動を抑制することは不可能だということです。洗礼後のカテケージスの継続が如何に大切かということでもあります。

「和解と平和的共存」。これは、ほんの数日間のルワンダ滞在中に、何度も繰り返し耳にした、あたかも国家的スローガンの様な言葉だ。まるで、人々の心に染み込ませようとするかのように、至る所で何度でも繰り返されていた。そしてこの言葉を繰り返し耳にした聖家族教会も、九四年五月に虐殺事件現場の一つになったという。愛と奉仕が、そして癒しと赦しが語られてきた神聖な場が、虐殺の現場となったのだ。

祖国への帰還が問題を全て解決してくれたわけではなかった。帰還の途中で命を失った多くの人たちがいる。家族を失った子供たちがいる。だがなによりも、戦火を逃れて二年以上も故郷を離れていた人たちの心は、深く傷ついていた。

現在ルワンダ国内には九〇年から続いた内戦と虐殺事件、そして難民の帰還という一連の出来事の結果として、十万人以上の孤児がいるという。しかも彼らは単なる孤児ではない。その多くが目の前で虐殺を目撃したり、死と隣り合わせの極限の逃避行を経験してきた子供たちだ。心理学の知識がない素人にも、この子どもたちが精神的痛手を負っていることは容易に想像がつく。ただその傷の深さを想像することができないだけだ。

訪れた子供たちの家では、小学生から中学生くらいまでの二十四人の子供たちが、集まって歌と踊りを披露してくれた。楽しそうな歌。楽しそうな踊り。そして手拍子。でも何かが違う。一年前にコンゴの難民キャンプで出会った子供たちの雰囲気と、何かが違っていた。部屋の壁際に寄り添うようにして座ったこの子どもたちから、子供特有の活気が感じられないのだ。いちいち促されなければ、笑顔がこぼれてこないのだ。単なる無表情とも違う、独特の違和感を感じた。ジークリッドさんが言う。

「子供たちの精神的な傷をいやすための専門家が、この国には全くいないんです。素人が手探りでやって行くしかないんです。」

あるルワンダ人シスターが運営している、元難民救済事業を見せてもらった。丘の上の小さな家には、ミシンが所狭しと並べてあった。ここでは少女たちに裁縫を教え、将来ドレスメーキングで生計を立てられるようにと、小さな職業訓練所が開設されていた。外に立って話を聞いていると、マウンテンバイクにまたがった少年が元気よく近づいてきた。少年とシスターとの楽しそうな語らいを眺めながら、ふと何気なく少年の姿を見て驚いた。左手首を失い、頭部には深い切り傷の跡が残っている。彼も九四年四月の虐殺事件の犠牲者だった。はにかんだような表情と素敵な笑顔が印象的だった。この街には、手首を失ったり足を失った子供たちが数多く見られる。いったい何人の子供たちが、戦争や虐殺事件の犠牲になったのだろうか。内戦も虐殺も全てが大人たちの政治的野望に端を発していることを考えると、最大の犠牲者はこの子どもたちではないだろうか。何にもましてルワンダの将来を考えるとき、心に深い傷を負った子供たちのために手を貸すことが急務だろう。この醜い戦いに全く責任のない子どもたちが、一番の被害者なのだから。

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