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投稿者 高野弘幸
作成日 2019-04-07 (日) 21:53
ㆍ照会: 193  
永遠の旅人


そよ風に乗って


そよ風に乗って


車が疾走する


やり場のない怒りを投げ出して


報われなかった日々を忘れ去って


釣りに行こう 友よ


魚を釣って 一杯やろう


通り過ぎた夏の悔いを滅ぼして


 


爽やかな森の木の香を吸って


のどかな田園を超えて


星降る山でキャンプをしよう


そよ風に乗って


 


農林センターの思い出


植物園の花が咲き乱れ


牛 馬の放牧


四つ葉のクローバーをたくさん見つけた


グラウンドの草野球


秋には銀杏(ぎんなん)を集め


天国の手付金のようだった


家族の遠い思い出


 


丘の上の道化師


 (The Beatles ”THE FOOL ON THE HILL”より)


丘の上の道化師は 


右目で世界が廻るのをながめ


左目で内面を見つめている


芝居が引けた後の寂しさ


化粧を落とした彼の姿を 誰も知らない


叫び声がこだまして 太陽と共に落ちてゆく


 


また芝居が始まる


白い厚化粧 鼻を赤く塗り


観客がどっと笑う おどけた綱渡りに 


誰も彼の悲しみを知らない


 


冬の日


鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる(加藤楸邨)


惨憺(さんたん)たる鮟鱇(あんこう)


暗澹たる老人


夢から覚めた寂寥感


生きよとばかりに


硝子窓から射す日差し


*村野四郎「惨憺たる鮟鱇」より。


 


素顔のままで


きらめく星座の彼方


思い出は降る星のように


悲しみも降る星のように


青い光 白い光を放っている


誰にも言えないことを隠したままで


果たせなかった希望を残したままで


ありのままで


素顔のままで


消えた裏庭


母が教えてくれた福寿草 (ふき)(とう) (ろう)(ばい)の香り


仔犬と戯れた草むら モンシロチョウが飛んでいた


夏には バッタやカマキリをつかまえ


秋には 柚子の実が成った


眠っていると 今そこにいる気がする


跡形も無く消えた裏庭に


 


蒲柳の質に生まれ来て


物心がついたときの喘息


息が出来ないことの苦しさ


遠足に行けなかった悔しさ


天井の木目模様を見つめていた


ロールシャッハ・テストのように


 


夾竹桃の花が咲くころ


夾竹桃の花が咲くころに あなたと出会い


夾竹桃の花が散るころに あなたと別れた


今どこで どんな暮らし しているだろうか


夏の日差しのなかで 夾竹桃の花が咲いている


 


クィーン・ジェーン


人生に苦い味がするとき


創ることに疲れ果てたとき


育てている薔薇が みんな枯れてしまったとき


会いに来ないか クィーン・ジェーン


 


君のママが蜘蛛の巣のように まとわりつくとき


みんなが切り口上で 畳みかけるとき


長い雨降りに気持ちが沈むとき


会いに来ないか クィーン・ジェーン


 


休みが終わり 財布がからっぽになったとき


計画がすべて軌道を外れていくとき


何もかも忘れたいとき


会いに来ないか クィーン・ジェーン


 


美女の姿に夜叉の影がちらつくとき


革命の気配がして 何もするすべもないとき


狂おしい空しさに 明日を忘れたいとき


会いに来ないか クィーン・ジェーン


 


旅をすることに疲れ果てたとき


何もかも 投げ出したいとき


いじけた自分が嫌になったとき


会いに来ないか クィーン・ジェーン


Bob Dylan ”Queen Jane Approximately”より)


 


道の途中


道の駅


道しるべ


道の途中


 


花が咲き 花が散り


愛すること 憎むこと


道の途中


 


生きること 老いること


力尽き 力満ち


道の途中


 


途方に暮れ


雨上がりをまっている


道の途中


 


ことの葉さやげ


人から言われた一言にずうっと傷ついている


クライエントがある


人から言われた一言をずうっと心の糧にしている


人がある


もの言えば唇寒し秋の風


ダモクレスの剣の下で


ことの葉さやげ


ことの葉さやげ


 


 


パリの夏-朝の裏街で


何という薄汚れた街であろうか


何百年というあらゆる悪徳が積み重ねっているかのようだ


坂道を行けば 遠くにシャルトルが見えている


野良犬の幻想


パリの夏-朝の裏街


昨夜の歓楽の跡が あちらこちらに落ちている


 


幸せはいちばん後から


ほら春が 山に 畑にそよいでいる


 


あの雲に あの空に      響く甘い調


 


もう鳥が歌い出す あの森の枝で


 


川の水に 匂うように そよぐ風の調べ


 


 長い冬のあとに 長い夜のあとに


  孤独の日々のあとに 


幸せはいちばん後からやってくる


 


朝焼けに 夕暮れに まどろみに 歌に


清らかな 大空の 星の光のなかに


 


みどりの葉 若い枝 吹く風に


 


歌うような 愛の声 響く 町に村に


 


幸せはいちばん後からやってくる


 


花をまき散らす天使が 聖なる空の上に


 


カナリア色の花が咲く そびえる樹々のシンフォニー


 


流れゆく 川の水に  風に 光に 春が


幸せはいちばん後からやってくる

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4302 夜空のフォーカシング(1) 高野弘幸 2019-06-19 123
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