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投稿者 高野弘幸
作成日 2013-04-29 (月) 17:03
ㆍ照会: 2022  
希望の子育て 全章の要約

全章の要約

 

たいへんありがたいことですが、この書物の考え方を通して、私たちは子どもたちを希望の国へ案内することができました。私たちの旅は、21世紀に広がっている心理的な悩みを解説することから始まりました。私たちのメンタル・ヘルスと、子ども全般のよりよい生活とは互いに通じ合っているようです。家庭生活の変化、たとえば離婚の増加によって、家族は小さな単位となり、兄弟姉妹のサポートや、家庭同士のネット・ワークによるサポートが減少したことが、子どもたちのよき生活に否定的な結果をもたらしました。

 

 ますますむずかしくなる私たちの仕事上の人間関係、またバランスがとりにくい仕事と生活の関係は、私たちに心理的な悩みをもたらし、それが転じて子どもたちに悪影響をもたらしています。心理的な病の割合は飛躍的に増加し、子どもたちの状況と大人たちの健康は、この時代の「うつ」や自殺に、らせん状に反映されています。しかし、悲観的になることはありません。私たちが、子どもたちの自己価値観を高めることができれば、子どもたちは心の悩みをはねのけ、21世紀の圧力に対抗して、幸福で満たされた生活に導かれます。

 

 希望の国へ踏み出すための第一歩は、私たちがストレス、不安、「うつ」にさらされたとき、私たちの心がどのように働くかを理解することから始まります。そのために、いくつかのコンセプトを知る必要があります。

 

 第一のコンセプトは、私たちの心が、DVDでいっぱいの書庫にたとえられることです。私たちは人生の記憶の銀行から引き出しを行っているようなものです。

 

 不安やストレスや「うつ」が子どもの生活にのび広がるのは、ネガティブなDVDばかりが増えたためです。

 

 第二のコンセプトは、フィルター(RAS-網のように活動する脳のシステム)です。子どもたちは心の悩みにさらされているときは、フィルターがネガティブなDVDの方にセットされています。「誤った思考」にフィルターがしっかりとセットされてしまうと、子どもたちはネガティブな思い込みをするように保たれてしまいます。

 

 第三のコンセプトは、「ネガティブな思考」の悪循環です。子どもたちがたえず自分の生活や自分自身に対して、悪いイメージを持っていると、それが自己不信を生み、自信の喪失と低い自己評価につながり、それがまた「自らかなえてしまう悪い予言」につながります。恐怖感のかけらや、危険を避けたい気持ちから、たえず悲観的になる傾向が発生し、その結果、また否定的な思考にはまるという悪循環が浮かび上がります。

 

 次に私たちは、子どもたちの心と外の世界とがどのように相互交流するかに目を留めました。私たちがこれについて使った心のモデルは、ヒューマン・ファクター・モデル(HFM)です。私たちは、子どもの価値観と、特質と、行動スタイルに沿ったモデルを提供しました―それはすべて子どもの心の内界を作っているものです。その後私たちは、子どもの心の内界と外界(ネガティブな出来事や状況)との間のミス・マッチが、いかにして子どもの気分に悪い衝撃を与えるかに注目しました。

 

 次に私たちは、なぜある子どもたちが、他の子どもたちより、ストレス、不安、「うつ」にさらされやすいかを解説しました。それはその子どもたちが人生の早期に持っていた、おびえやすい性質のためであるかのように見えます。そこで私たちは「基本的な帰属の誤り」というコンセプトを打ち立てました。そして、人々がどれほど自分のおかれている環境を度外視して、自分(や他の人)を責めたてるか、という点に触れました。「基本的な帰属の誤り」は子どもたち自身の自己評価をさらに落してしまいます。

 

 私たちの旅の次の道しるべは、「コントロール」というコンセプトです。ここで学んだことは、私たちがコントロールできるのは、自分自身だけだということです。子どもたちが自分の「できること」にエネルギーを注ぎ、できないことには注意を向けないようにチャンネルを切り替えるように、私たちが援助できれば、子どもたちはもっと自信がつくことでしょう。良い循環が増すに従って、それは達成できます。また私たちは、「ストックデールのパラドックス」によって、悲観主義と楽天主義のバランスをとることの必要性を感じました。子どもたちがつらいとき、私たちはそのつらい現実に彼らを直面させることになりますが、しかし、生き残った楽観主義によって、結局は子どもたちは困難に打ち勝つのです。

 

 また私たちは少し時間を割いて、心の免疫システムをさぐり、たいへんショッキングな出来事や、痛ましいDVD記憶をどのようにして箱に入れて隔離しておくかを学びました。この特別にネガティブな記憶を薄めていくためには、子どもたちが箱のフタをそっと開けるのを助けることが、いかに重要であるかについて解説しました。

 

 後半の旅に当たって、最後のコンセプトを紹介しました―メンタル・フィットネス・プログラムです。このプログラムは、子どもたちがポジティブな思考をする練習を行えるように、特別にデザインしたものです。これを使うことによって、子どもたちは「誤った思考」を根こそぎにすることができます。「ウォーミング・アップ」では、子どもたちの心を優しく広げ、「ジョギング」では、現在と近い将来をポジティブな経験と感じられるように援助しました。「長くたゆみない走行」では、生きてゆくための重要なレッスンを教えました。「短距離走」は、さらに特別な事態に打ち勝つためのテクニックです。「ウォーミング・ダウン」は、未来に向かってポジティブ思考を広げてゆく活動です。

 

 たとえ子どもたちであっても、人生はなかなかたやすいものではありません―少しの雨はあらゆる人生に降るのです。しかし、肯定的にものごとをとらえるように作った、上記のいくつかのコンセプトを理解していただければ、私たちは、子どもたちが正しい自信を持ち、自己価値観を高めるように手助けすることができます。最初に申しましたように、これが子どもたちに与えることができるあなたの最良の贈り物なのです。

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