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投稿者 高野弘幸
作成日 2018-07-19 (木) 22:55
ㆍ照会: 213  
詩集「蒲柳の質に産まれ来て」 第三部

 


カフカの城のように

いくつもの森を過ぎ

いくつもの泉をめぐり

いくつもの峠を越えて

いくら歩いても たどりつかない

カフカの城のように

 

いくつもの本を漁り

幾人もの人に道を尋ね

幾人もの娘に挨拶し

いくら歩いても たどりつかない

カフカの城のように

 

いくつもの問いを解き

いくつもの病を癒し

いくつもの年月が過ぎ

いくら歩いても たどりつかない

カフカの城のように

 

涙の雨が降る

滝のように降りそそぐ雨は

流すことさえ出来なかった

多くの人々の涙の雨

この世界は涙の谷

涙が胸を潤すこともある

黙殺された人々の

涙の雨が降る

 

健礼門院右京大夫集

絢爛たる王朝は跡方も無く費え去った

あまたの貴公子が戦いに消えて行った

 

今はただしひて忘るる いにしへを思ひ出でよと すめる月かげ

しづやしづ しづのおだまきくりかえし むかしをいまに なすよしもがな

 

佳人の嘆きは歴史の彼方に消えて行った

 

流れ去った‟時“

多岐に迷い 隘路をくぐり

袋小路に突きあたり

 

時は静かに流れ去った

「あのころの生き方を あなたは忘れないで」*

という歌に思わず涙がにじむ

とうに忘れてしまったあのころの生き方

おまえは何をしてきたのかと風がわたしにささやきかける

*松任谷由美「卒業写真」

 

 

悲しみは果てしなく

一つの時代を代表する歌手や俳優たちが

次々と亡くなって行く

夢を与えてくれたあなたたちよ、ありがとう

安らかに眠っておくれ

 

砂の上に建てた城が波に洗われて消えて行く

また次の時代がやって来る

 

春の憂いの五月

新緑から風が吹き

立ち葵が空に伸び

 

人生の華は一夜の夢と散り

私の心は難破船

 

人生のつなわたり

私は私らしい人生を生きてみたかった

過酷な運命が強いるつなわたり

踏み外せば下は見えない

見上げれば 初夏満天の星

 

祭囃子の音が聞こえる

夜の帳を(つんざ)いて

祭囃子の音が聞こえる

梅雨明けの夏祭り

私は何度この音を聞いたことだろう

若者たちの見せ場と危険がそこにあった

祭囃子の音が聞こえる

 

黒いノクターン

あなたは知っているだろうか

この世界には隠された悲惨が

数多くあることを

あの時

聞いた悲鳴を私は忘れることができない

今宵 捧げよう

高い塔のような杯に

葡萄酒と涙を入れて

 

ほのかなやさしさ

放課後の帰り道

傘を差しかけてくれた

幼なじみの美しいひと

知る由もなく何処かへ嫁いで行った

わたしは忘れない ほのかなやさしさ

 

どれほどの誤解にさらされたことか

どれほどの無理解にさらされたことか

 

星はめぐり時は過ぎても

わたしは忘れない ほのかなやさしさ

 

行き詰まりをともに

どうにもならない人生を歩んでいる人々と

わずか 一時間足らずの時を過ごしてきた

その堆積が私の肩にのしかかる

今夜は星も見えず 月は隠れている

街では易者たちの店仕舞い

夜泣きそばの屋台が街角に消えて行く

救急車のサイレンが風のように通り過ぎていく

私は見つめる

揺らぐ木の枝のそよぎ

今日の仕事は終わったけれど

不全感だけが心に残る

小雨が降って来た

 

悲しきムスターファ

ヤ ムスターファ

ヤ ムスターファ

純情可憐なムスターファ

 

16歳で恋をして

彼女は誰かと去って行った

悲しく老いたムスターファ

墓石のブルースを歌っていた

61歳ムスターファ

恋することなくこの世を去った

 

ヤ ムスターファ

ヤ ムスターファ

純情可憐なムスターファ

 

悲しき亜熱帯

忘れられない思い出の捨て所は

コバルトブルーの海の彼方

悔しい思い出の捨て所は

はるか冥王星の星の彼方

悲しい思い出の捨て所は

水芭蕉咲く尾瀬沼の彼方

辛い思い出の捨て所は

白馬岳の山の彼方

 

また夜がやってくる

日々の思い出の捨て所は

無意識の夢の彼方

ダーティワーク

カウンセリングはダーティワーク

心の闇を見つめ

もつれをほぐし

ささやかな進歩を見つけ

エンパワメントして帰す

 

日々の仕事は嫌でもやって来る

時熟を待つばかり

悲しみなさい 泣きなさい

真の癒し手は時の流れ

一杯のビール

星を見つめていよう

番号     タイトル  投稿者 作成日 照会
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